任意整理

1.任意整理とは

 裁判所の関与なしにローン業者と借主の任意の話し合いで借金の減額を図る制度です。

 ご依頼いただきますと、弁護士があなたの代わりに交渉します。

2.任意整理の流れ

任意整理の流れ

※債権者の数等によってかかる期間は異なります。

  1. 聴取・受任手続

    借金額と財産、現在の家計状況を聞き取り、どのような方法で債務を整理したらいいか提案します。
    受任する場合は、借金額や財産のわかる書類(請求書や通帳等)をお預かりします。

  2. 受任通知発送

    依頼人の代理人になった旨を債権者へ通知します。
    この弁護士からの受任通知が債権者に届けば、債権者からの取立が止まります。

  3. 債権額確定

    これまでの取引履歴を取付け、利息制限法に基づく利息に基づいた再計算を行い、債権額を確定させます。

  4. 交渉・和解

    返済額、返済時期、返済方法などを各債権者と交渉し、交渉がまとまれば和解書の取り交わしを行います。

  5. 支払い開始

    4.で取り交わした和解書の和解内容に従って返済をスタートさせます。

3.任意整理のメリット・デメリット

  • メリット

    弁護士に依頼する場合はご依頼後まもなく取立が止まります。
    また、自己破産には各種の資格制限がありますが、任意整理にはありません。
    自己破産と異なり、免責不許可事由がありません。
    自己破産や個人再生と異なり、裁判所を利用しないので比較的短期間で解決します。
    また、官報や市町村役場の破産者名簿に載りません。

  • デメリット

    裁判所等の公的機関を利用しないので、強制力はありません。
    7年間ほどは銀行などの金融機関から借金ができなくなったり、クレジットカードが作れなくなったりします。

4.任意整理に関するQ&A

 貸金業者との任意の話し合いで、借金の減額の交渉をし、さらに利息をカットするなどの交渉をして、毎月の返済額を支払える範囲まで減らす手続です。

 取引によっては借金がゼロになることもあり、さらに過払いがあることもあります。一般的には、利息が高い業者との取引が長いほど借金の減り幅が大きくなります。どれくらい減額できるかは、借入期間、取引の推移、利息の変化、途中完済の有無、取引履歴の開示状況等によって異なります。

 減額できるのは、利息制限法で定められた利率(利息制限法で定められた利率)より高い利息の借金です。
 ショッピングや車のクレジット、住宅ローン等、利息制限法より低い金利の借金は、減額できません。ただし、分割回数を増やし月々の返済額を少なくできることや支払う返済金の利息をカットすることができることがあるというメリットがあります。
 利息は元金の額によって異なります。
元金が

  1. 10万円未満の場合には年20%
  2. 10万円以上100万円未満の場合には年18%
  3. 100万円以上の場合には年15%

 請求すれば、ごく一部を除き、貸金業者は過去の取引履歴を提出してきますので可能です。

 通常3〜6ヶ月程度の時間がかかります。
 まず、債務額の調査を行います。調査に3〜6ヶ月程度の時間がかかります。
 調査後、各債権者と和解の交渉を行うという流れになります。

 できます。
 任意整理は、自己破産や個人再生と異なり、裁判所を介さずに手続を行いますので、特定の業者を手続の対象としないですすめることが可能です。
 そのため、住宅ローンや自動車ローンがある方は、そのローン会社のみを任意整理の手続から除いて、従来通り支払っていくことも可能です。

 税金や社会保険料などの国や公共団体に対する債務は任意整理の対象とはなりません。

 できます。
 任意整理は、自己破産や個人再生と異なり、裁判所を介さずに手続を行いますので、ギャンブルや浪費により借金を抱えた場合でも手続に問題はありません。

 自己破産や個人再生と同じく任意整理をしたとしても、それは保証人には何の影響もありません。したがって、本人の他に保証人がいるのであれば、債権者は保証人に対し、全額借金の請求をすることになります。
 保証人がいる場合には事前にしっかりと説明し、場合によっては保証人を含めた任意整理を考える必要があります。

 ご家族が保証人になっていない限り、影響ありません。
 ただし、貸金業者との契約時にご家族の名前を申告している場合、その貸金業者がその家族の方と取引を行わないことがあります。

 日常の電気製品や電話加入権などの生活としての必需品、そして一定の財産は換価配当の対象にはなりませんので手元に残すことができます。 また、破産開始決定後に手に入れた財産については、原則として処分されません。ただし、所有不動産については、破産手続の他、抵当権などの担保権の実行によっても換価のために処分される場合があります。ローンが残っている場合やクレジットで買い物をした物品等は、債権者に返さなくてはなりません。
 法人の破産の場合は、電話加入権等であっても、原則として、すべて換価のために処分されます。

 手続が終了すれば、自由に財産を持つことができます。
 ただし、自己破産すると事故情報登録(ブラックリスト)されますので、住宅や自動車についてローンを組んで購入することはできない場合があります。

 以前に免責決定が確定した日から7年以内に再び自己破産申立をしても、原則として免責は認められません。

過払い請求に関するQ&A

 「払い過ぎた利息」のことです。
 多くの貸金業者は利息制限法違反の高金利を設定しています。これを適正な金利に直して計算すると、法律上支払義務がある借金の元本以上にお金を支払っている状態(過払いの状態)になっていることがあります。

 利息に関する法律には、貸金業法と、利息制限法の2つがあります。利息制限法では年15〜20%の支払いで済むのに、貸金業法は年29.2%までの利息を認めています。そのため、貸金業者はこの利息制限法で定められた利息よりも高い利息(貸金業法上の利息)でお金を貸すため、返済すべき債務(借金)以上に返済してしまい、払い過ぎが生じてしまいます。

 通常7年間程度が目安になります。
 借入れから7年以上返済を継続しているような場合、過払い金が発生する可能性が高くなります。

 既に完済しているとしても、過払い金が発生している場合は当然返還を請求することが可能です。
 もっとも、過払い金の返還請求権は10年で時効により消滅しますので、10年以上前に完済した取引については、過払い金の返還を求めることはできません。

 過払い金の請求自体は、返済能力とは無関係なので、通常、信用情報機関(ブラックリスト)に情報が登録されないことが多いです。
 もっとも、貸金業者の中には、過払い金請求したことにより、情報登録する場合もあるので、ブラックリストに載る可能性があることは完全に否定できません。