遺留分

 遺留分制度とは、法定相続人のために、必ず相続財産の一定部分を取得できることを保障する制度をいいます。遺言書を作成すれば、法定相続人以外の者に全財産を遺贈することも可能ですが、それでは法定相続人にあまりにも不利益となりますので、法定相続人には、相続財産を一定の割合で留保し、被相続人の遺言内容によって奪うことのできない「遺留分」が認められています。

1.遺留分権利者

 遺留分を有するのは、兄弟姉妹を除く法定相続人、即ち、配偶者、子、父母です。

2.遺留分の割合

相続人配偶者父母
単独相続の場合 1/21/21/3
配偶者との共同相続の場合の場合 ーーー1/21/3

3.遺留分減殺請求権の行使

 遺言内容が法定相続人の遺留分を侵害するものであっても、法的には有効な遺言書となっています。法定相続人は、話し合いや家庭裁判所への遺留分減殺請求の申立により、遺留分を主張すれば、遺留分を相続することができますが、実際には、一旦、遺言書のとおりに相続が行なわれ、その後で遺留分を返してもらうことになります。遺留分を主張するかどうかは法定相続人の自由ですので、相続人が遺留分減殺請求権を行使した場合には、受遺者・受贈者は侵害している遺留分の財産を相続人に返還しなければなりません。

4.遺留分減殺請求申立の期限

 遺留分の返還手続として、まずは、相続人が遺留分の主張をし、当事者間での話し合いを行います。この話し合いがまとまらない場合は、相続人は家庭裁判所に遺留分減殺請求の申立を行い、調停によって解決することになります。
 ただし、遺留分減殺請求の申立は、相続開始の時から10年以内、あるいは相続の開始及び遺留分の侵害を知った時から1年以内にしなければならないので、注意が必要です。