相続手続との関係

 交通事故により、不幸にしてご本人が亡くなられた場合も、他の原因による死亡と同様に、ご本人の「相続」の問題が生じます(民法882条)。

相続のルール

 ご本人が亡くなられたことにより、ご本人がご存命であればご本人から加害者に請求できたはずの各種の損害賠償請求権は、各相続人に引き継がれ、相続人から加害者に対して請求することとなります(民法896条)。
(これ以外に、ご本人のご家族・ご親族については、ご本人を亡くされたことに対する固有の慰謝料請求権が発生します(711条)。)

  • 相続人は、以下の順位によって定まります。
    • 第1順位 子(887条1項)
    • 第2順位 子がいないときは、直系尊属(父母等、889条1項1号)
    • 第3順位 いずれもいないときは、兄弟姉妹(同2号)

    ※どの場合においても、配偶者は常に相続人となります(890条)。

  • 各相続人の相続分については、以下のルールが定められています(900条)。
    1. 子及び配偶者が相続人であるとき(第1順位の場合)は、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1
    2. 配偶者及び直系尊属が相続人であるとき(第2順位の場合)は、配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1
    3. 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるとき(第3順位の場合)は、配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1
    4. 子、直系尊属、兄弟姉妹が複数人いるときは、その人数に応じて案分されます

    (なお、法律上の婚姻関係にない非嫡出子の相続分を嫡出子の半分とする民法900条4号但書の定めは、平成25年9月4日最高裁決定により違憲とされ、平成25年12月に削除されました)

 たとえば、夫と妻、子供2人の家庭において、夫が交通事故により死亡し、6000万円の損害賠償請求権が発生した場合、妻は(1.)に従い2分の1の3000万円の請求権を、二人の子は(1.)(4.)に従いそれぞれ4分の1(2分の1×2分の1)の1500万円の請求権を有することになります。

 子供がいない夫婦家庭において、夫が交通事故により死亡し、夫の両親のうち母親のみがいる場合、妻は(2.)に従い3分の2の4000万円の請求権を、母も(2.)に従い3分の1の2000万円の請求権を有することとなります。

 もっとも、弁護士が受任する場合には、相続人全員から委任を受け、6000万円全額の損害賠償請求をすれば、請求も1回で済み簡便です。

 当事務所では、交通事故のみならず、相続に関する問題一般の相談も随時受け付けております。

 いつでもお気軽にご相談ください。